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​特許の読み方

​特許の読み方(17)切り餅事件特許を読む②

27/8/2020

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訴訟で争われた被告製品について下記のように特定するのは争いがなかったようです。
 
a 焼き網に載置して焼き上げて食する輪郭形状が直方形の小片餅体である切餅の
B1 上面17及び下面16に,切り込み部18が上面17及び下面16の長辺部及び短辺部の全長にわたって上面17及び下面16のそれぞれほぼ中央部に十字状に設けられ.
b2  かつ,上面17及び下面16に挟まれた側周表面12の長辺部に同長辺部の上下方向をほぼ3等分する間隔で長辺部の全長にわたりほぼ並行に2つの切り込み部13が設けられ,
c 切り込み部13は側周表面12の対向する二長辺部に設けられている
d餅。
と特定されています。
 

 
 
請求項1についての分説は下記の通りです。
A 焼き網に載置して焼き上げて食する輪郭形状が方形の小片餅体である切餅の
B 載置底面又は平坦上面ではなくこの小片餅体の上側表面部の立直側面である側周表面に,この立直側面に沿う方向を周方向としてこの周方向に長さを有する一若しくは複数の切り込み部又は溝部を設け,
C この切り込み部又は溝部は,この立直側面に沿う方向を周方向としてこの周方向に一周連続させて角環状とした若しくは前記立直側面である側周表面の対向二側面に形成した切り込み部又は溝部として,
D 焼き上げるに際して前記切り込み部又は溝部の上側が下側に対して持ち上がり,最中やサンドウイッチのように上下の焼板状部の間に膨化した中身がサンドされている状態に膨化変形することで膨化による外部への噴き出しを抑制するように構成した
E ことを特徴とする餅。
 
 
<争点>
争点となったのは、原告の特許権のB要件「(…切餅の)載置底⾯⼜は平坦上⾯ではなくこの⼩⽚餅体のこの小片餅体の上側表面部の立直側面である側周表面に,この立直側面に沿う方向を周方向としてこの周方向に長さを有する一若しくは複数の切り込み部又は溝部を設け…」という⽂⾔です。
この⽂⾔には、「底⾯や上⾯に切り込みが⼊っている切り餅」を含むのか否かが明確でないとして、この解釈が争われました。
原告は、当該⽂⾔は、切り餅の上⾯や底⾯には切り込みを設けても設けなくてもよく、側⾯に切り込みが⼊っていることを意味するとして、「佐藤の切り餅」は原告特許を侵害すると主張し、これに対し、被告は、当該⽂⾔は上⾯にも切り込みが⼊っている場合を除くと解釈されるから、「サトウの切り餅」には、上⾯にも切り込みが⼊っているため侵害ではないと主張しました。
 
 東京地裁は、原告の言い分を認めず、客観的に表現を解釈すれば、「載置底面又は平坦上面ではなく」というのは、「載置底面又は平坦上面には切り込みがないと考えるのが自然である」と判断しました。
これを不服とした原告が知財高裁に控訴しました。
 
 知財高裁は、中間判決において、①「特許請求の範囲の記載」全体の構文も含めた、通常の文言の解釈、②本件明細書の発明の詳細な説明の記載、及び③出願経過等を総合勘案し、「『載置底面又は平坦上面ではなく』との記載は,『側周表面』であることを確にするための記載であり,載置底面又は平坦上面に切り込み部又は溝部…を設けることを除外するための記載ではない」と判断しました。
 そして、上記①~③のうち、①「特許請求の範囲の記載」全体の構文を含めた、通常の文言の解釈については、「上記特許請求の範囲の記載によれば,『載置底面又は平坦上面ではなく』との記載部分の直後に,『この小片餅体の上側表面部の立直側面である側周表面に』との記載部分が,読点が付されることなく続いているのであって,そのような構文に照らすならば,『載置底面又は平坦上面ではなく』との記載部分は,その直後の『この小片餅体の上側表面部の立直側面である』との記載部分とともに,『側周表面』を修飾しているものと理解するのが自然である。」と述べ、原告の解釈を支持しました。

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    萬秀憲

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