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​特許の読み方

特許の読み方(13)文言(用語)の理解

21/8/2020

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特許請求の範囲を読むことによって、発明の技術的範囲を理解することができます。
 実際に読んでいくと色んな疑問にあたります。
 特許請求の範囲と明細書の記載が一致しないように思われる場合もでてきます。
 この場合、特許発明の技術的範囲は、特許請求の範囲に基づいて定められる(第70条第1項)という大原則がありますので、特許請求の範囲を無視し、明細書の記載のみから技術的範囲を定めることは許されません。特許請求の範囲の文言通りに解釈されずに明細書の記載を考慮して特許請求の範囲の文言を理解することになります。
 特許請求の範囲に記載された用語の意義は、発明の詳細な説明を参酌して解釈されます(第70条第2項)。特許請求の範囲の記載が明確でなく、その理解が困難であるような場合には、発明の詳細な説明の内容を参酌して解釈するということです。例えば、特許請求の範囲に記載されている「A」という用語が不明確であり、その意義が曖昧な場合、発明の詳細な説明において「A」の説明がなされているときには、その説明を参酌して「A」の定義・意義を解釈するということになります。
 また、用語などの解釈で、特許の審査・審判経過等において出願人が主張した事項や特許庁が示した見解等は、民法上の信義則(民法1条2項)や禁反言の原則の一類型として、特許権者を拘束します。例えば、審査段階において、出願人(=特許権者)が、クレーム中の「A」という用語は「a」という意味であると意見書で主張した場合には、クレーム中の「A」は「a」という意味として解釈される場合があります。実務では、意見書で主張や反論を必要以上に書きすぎない(余計な主張はしない)といったことが留意点として挙げられることがありますが、その理由の1つはこの出願経過参酌の原則が適用されないようにするためです。

 用語の定義が明細書をみてもどこにも書いていない場合もあります。
 その場合は、「普通の意味(技術用語は学術用語としての普通の意味)」になりますので、広辞苑などの国語辞書や、科学辞典や専門分野の用語辞典などを調べることになります。また、その分野の教科書や総説などの記載や、論文、特許などの記載を調べます。そして、「当業者の技術常識」により用語の定義を決めることになります。
 「当業者(とうぎょうしゃ)」とは、発明が属する技術分野の通常の知識を有する架空の人物、グループを想定しており、「技術常識」とは、当業者に一般的に知られている技術(周知技術、慣用技術を含む)又は経験則から明らかな事項をいいます。
 このあたりは非常に微妙です。訴訟など争いのときによくあるのは、当業者であればだれでも当然理解しているような基本的な事項であるけれどもそれを明確に書いた文献がみつからないということです。灰色の争いのおこりやすいところだと、頭の隅に置いておいてください。
 
特許法
(特許発明の技術的範囲)
第70条 特許発明の技術的範囲は、願書に添付した特許請求の範囲の記載に基づ
いて定めなければならない。
2 前項の場合においては、願書に添付した明細書の記載及び図⾯を考慮して、特
許請求の範囲に記載された⽤語の意義を解釈するものとする。
3 前⼆項の場合においては、願書に添付した要約書の記載を考慮してはならな
い。
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    萬秀憲

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