2025年2月21日に開催された「サイバー大学 IT・ビジネスセミナー:ビジネス変化の波を乗りこなせ! - 生成AI時代のビジネス戦略 -」(講師:サイバー大学 教授 除村 健俊 氏)がYouTubeにアップされました。
全体としては、「日本企業は競争力低下に直面しており、これを克服するためには、生成AI等の最新技術を効果的に取り入れることが必須。今後の成功には技術的能力のみならず、自律的な学習力、創造力、ビジネス理解力など幅広いスキルが求められる。生成AIを積極的に活用し、変化に対応できる人材を育てることが重要。」ということでした。 テクノロジー、ビジネスで、今起こっている変化がわかりやすく説明されていて、そういう変化に対応するためには最新技術を効果的に取り入れることが必須で、中でも生成AI活用のスキルが今後の競争力に直結することが良くわかる説明でした。 1.日本の競争力の状況について 日本の世界競争力の低下:IMD世界競争力年鑑によると、日本の順位は1990年代の1位から現在(講演時点)では38位に低下。経済や科学インフラでは比較的高い評価を維持しているものの、財政状況や企業経営慣行は極めて低評価(64位や65位)。一人当たりGDPも韓国に追い抜かれている状況。 労働生産性の低迷:OECD加盟38か国中30位(ポルトガルやスロバキアと同水準)。日本企業は「インプット(コスト削減)」は得意だが、「アウトプット(価値創造)」は苦手。 日本企業は価値創造(アウトプット)を強化しなければ、競争力回復は難しい。「付加価値創造力」が重要。 2.今起こっている変化(テクノロジー・ビジネス環境の変化) デジタル技術の急速な進化:クラウド、IoT、生成AI、ブロックチェーン、スマホ技術などが急速に発展。スマホがビジネス活動の中心的デバイスとなり、ビジネスモデルの変革が加速。 意識・行動の変化:経済合理性を重視(コスト最小、価値最大化)。所有よりも「モノが生み出す価値」に意識が移行(例:ドリルを欲しいのではなく、「穴」を欲しがる)。経験価値・心理的満足感が重視されるようになった。 ビジネスモデルの変化:サブスクリプション、重量課金(例:車、動画配信サービス)。プラットフォーム型ビジネス(例:Amazon、楽天)。データ駆動型(広告収益型)やエコシステム型モデル、シェアリングエコノミー(Uber、Airbnbなど)が増加。 デジタル技術の普及がビジネスの概念・収益構造を大きく変えている。 3.生成AIの衝撃 生成AIの特徴と活用例:画像認識、データ分析、コード作成・デバッグ、フリーコメントの分類・要約などが可能。コード生成例(チャットGPTを使った地図表示のHTMLプログラム作成)が紹介され、数分で実用的なソフトウェアを作成できる実例を提示。 生成AI活用による業務効率化:ホームページの分析・改善。手書き文字や写真の内容の高度な認識・分析。複雑なデータ分析や、顧客のセンチメント分析も可能。 生成AIを使うことで、ソフトウェア開発やデータ分析など業務が劇的に効率化される。AI活用のスキルが今後の競争力に直結する。 4.求められる人材・能力(今後必要なスキル) ソフトウェア開発の変化と必要能力の変化:「終わりのない開発」が常態化し、アジャイル開発(短期間で繰り返し開発を進める)への移行が求められる。ソフトウェアの「上流工程」(要求仕様・アーキテクチャ設計)が重要になる。 ソフトウェアエンジニアに求められる能力の変化:コーディング中心の開発から、ビジネス活動を理解した上での要求定義や設計能力へ。AIを活用した開発が一般化するため、「生成AIを使えること」よりも「生成AIが出力した内容を正しく理解し、活用できる」能力が求められる。 非認知能力(コンピテンシー):「自律的自己成長能力」:メタ認知(客観的な自己評価)や継続的な学習意欲など。成果を生むために、「変化の予兆を感じ、アイデアを生み、仮説検証を繰り返す能力」が必須。マイクロクレデンシャル(特定領域の知識・スキル証明)が、自律的な学習能力を示す指標として重要視されるようになった。 変化の速い環境に対応できる「自律的な学習能力」と「ビジネス感覚を持ったソフトウェア開発力」が重要である。 2024年度 第4回「サイバー大学 IT・ビジネスセミナー」 ビジネス変化の波を乗りこなせ! - 生成AI時代のビジネス戦略 - https://www.youtube.com/watch?v=b7aKVEIdy1U https://www.cyber-u.ac.jp/app/uploads/250221_24_4_IT_seminar.pdf 【2025年2月21日開催】2024年度 第4回「サイバー大学 IT・ビジネスセミナー」 ビジネス変化の波を乗りこなせ!- 生成AI時代のビジネス戦略 - 講師:除村 健俊 氏(サイバー大学 教授) <概要> エグゼクティブ・プロジェクトマネジャーとして、ノートパソコン(ThinkPad)の開発をグローバルチームで統括した経歴をもつ除村健俊 氏が登壇。テクノロジー、人間の意識、ビジネス環境、生成AI等の急速な進化の事例紹介を交えながら、変化を先読みした戦略的に行動できるビジネスリーダーになるためのヒントを解説しています。また、「ソフトウェアファーストのための組織形成について」「生成AI活用におけるプログラミング知識の必要性について」等、参加者の皆さんからの質問にも回答しています。 <チャプター> 0:00:00 オープニング 0:03:56 第1章:日本の競争力の状況 0:11:26 息抜き:問題1 0:13:06 第2章:今起こっている変化 0:13:20 テクノロジーと意識の変化 0:15:19 ビジネスを取り巻く変化 0:27:02 ソフトウェア開発の変化 0:43:25 息抜き:問題2 0:46:26 第3章:生成AIの衝撃 0:58:38 コード作成のデモンストレーション 1:08:12 第4章:求められる人材・能力 1:11:23 本セミナーのまとめ 1:12:36 質疑応答 1:20:38 法人向けサービスのご案内 Mastering the Waves of Business Change! Business Strategy in the Era of Generative AI The "Cyber University IT & Business Seminar: Mastering the Waves of Business Change! - Business Strategy in the Era of Generative AI," held on February 21, 2025 (Speaker: Professor Taketoshi Yokemura, Cyber University), has been uploaded to YouTube. Overall, the seminar emphasized that Japanese companies are facing declining competitiveness, and effectively incorporating advanced technologies such as generative AI is essential for overcoming this challenge. Future success will require not only technical capabilities but also a broad range of skills, including autonomous learning ability, creativity, and business acumen. Actively utilizing generative AI and developing talent capable of adapting to change is crucial. The presentation clearly explained ongoing transformations in technology and business, highlighting that adapting effectively to these changes through advanced technologies—especially skills in generative AI—is directly linked to future competitiveness.
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著者萬秀憲 アーカイブ
March 2025
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