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技術的範囲を限定的に解釈した原審判決を変更した知財高裁判決

22/9/2021

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知財管理9月号に掲載された判例と実務シリーズ:No.520 技術的範囲を限定的に解釈した 原審判決を変更した知財高裁判決─「液体を微粒子に噴射する方法とノズル」事件─を読みました。
「液体を微粒子に噴射する方法とノズル」とする特許第2797080号の
「【請求項4】 液体を流動させて薄膜流とする傾斜面(7)を有し,この傾斜面(7)を流動する液体の薄膜流を空気中に微粒子として噴射するノズルにおいて,
傾斜面(7)を液体の流動方向に平滑な面とすると共に,この傾斜面(7)に加圧空気を噴射して,傾斜面(7)に接触しながら,しかも,傾斜面(7)と平行に一定の方向に高速流動する空気流をつくる空気口(10)と,空気流を高速流動させている傾斜面(7)の途中に,空気流の流動方向に交差するように液体を供給する供給口(5)とを備え,
供給口(5)から傾斜面(7)に供給された液体を,高速流動する空気流で平滑面に押し付けて薄く引き伸ばして薄膜流とし,薄膜流を空気流で空気中に微粒子として噴射することを特徴とする液体を微粒子に噴射するノズル。」
というクレームの「微粒子」という文言について、第一審判決は、本件明細書の記載や出願経過から「微粒子」は粒子径10μm以下のものに限定されるとし、結論として文言侵害を否定し、原告の請求を棄却したのに対し、控訴審判決は、「微粒子」について、そのような数値限定はないとし、文言侵害を認めて原告の請求を一部認容した(2189万8823円+遅延損害金)事案です。
下記のコメントは、非常に示唆に富んでいます。
「特許侵害予防調査の観点からは,機能的・作用的構成要件が非充足であることを理由に非侵害の判断をすることには,当該効果の違いと結びつく特許発明と被疑侵害品の具体的な構造の違いを見出さない限り,慎重にならざるを得ない。また,特許発明が侵害装置の一部品を構成する場合にも,侵害装置全体の限界利益を基準として損害額を算定する近時の裁判例の動向を踏まえれば,なおさら慎重な判断が求められる。」
 
掲載巻(発行年) / 号 / 頁   71巻(2021年) / 9号 / 1236頁
論文区分              判例と実務シリーズ(No. 520)
論文名    (No. 520) 技術的範囲を限定的に解釈した 原審判決を変更した知財高裁判決─「液体を微粒子に噴射する方法とノズル」事件─
著者       藤野睦子
http://www.jipa.or.jp/kikansi/chizaikanri/search/detail.php?chizai_id=929a795d7656bb94bb736c125c4fbafc
抄録        本控訴審判決(以下「本判決」という。)は、原告(特許権者・控訴人)の請求を棄却した原審判決を変更し、その請求を一部認容した。属否の結論を異にすることとなったのは、本件特許発明の構成要件中「液体を微粒子に噴射する」構成について、原審判決が「微粒子」を「10μm以下の液滴」と限定解釈したのに対して、本判決は、そのような限定解釈をとらなかったことによる。
 また、本判決は、損害論に関して、特許発明が部品であり、侵害者が当該部品を含む装置全体を実施している場合について、装置全体の限界利益の額について特許法102条2項による推定が及び、侵害品が装置の交換可能な部品の一つであることは、推定覆滅事情であるとした。
 本稿では、裁判所が明細書の記載や出願経過等をどう考慮して上記判断に至ったのかを検討した上で、実務者の視点から、侵害訴訟を見据えた特許出願や特許侵害予防調査の実務について考察する。
目次
1.はじめに
2.事件の概要
2.1特許庁における手続きの経緯
2.2本件特許発明の概要
2.3被告各製品について
3.裁判所の判断
3,1原審判決
3.2本判決
4.考察
4.1特許発明の技術的範囲の確定
4.2「微粒子」の用語の解釈について
4.3損害論
4.4実務上の考察
5.おわりに

 
 
【特許侵害訴訟】控訴審の逆転充足④【液体を微粒子に噴射するノズル事件】
https://ameblo.jp/hideki-takaishi/entry-12660456588.html
 
非侵害の判断を変更した知財高裁判決・液体噴射用ノズル事件
https://www.chosakai.or.jp/intell/contents21/202103/202103_7.pdf
 
知財高判令和2年5月27日(平成30年(ネ)第10016号) ― 特許発明が侵害品の一部分のみに過ぎない場合において102条2項の推定覆滅を認めた事案
https://patent-law.hatenablog.com/entry/2020/10/18/114830
 
平成30年(ネ)第10016号 損害賠償請求控訴事件
(原審・大阪地方裁判所平成27年(ワ)第12965号)
  https://www.ip.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail?id=5424
 
 
液体を微粒子に噴射する方法とノズル事件 大阪地方裁判所第26民事部
http://www.meisei.gr.jp/report/%E6%B6%B2%E4%BD%93%E3%82%92%E5%BE%AE%E7%B2%92%E5%AD%90%E3%81%AB%E5%99%B4%E5%B0%84%E3%81%99%E3%82%8B%E6%96%B9%E6%B3%95%E3%81%A8%E3%83%8E%E3%82%BA%E3%83%AB%E4%BA%8B%E4%BB%B6/

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