9月28日にWEBで行われた「中国知的財産制度の転換点について」と題する、林達劉グループ北京魏啓学法律事務所所長弁護士・弁理士魏啓学(Chixue WEI)先生の講演を視聴しました。
海外からの講義も、WEBで聞くことが今後は標準になるのかもしれません。 昨年も話された内容(※1参照)ですが、最新版になっています。 ※1:「中国知的財産制度の転換点について」, 第3回「国際特許シンポジウム」日本、韓国、中国、欧州、米国における最新の特許等関連情報 2019年12月 https://www.fukamipat.gr.jp/wp/wp-content/uploads/2019/12/29abd25a8edf135c8b02bc3025d59a78.pdf 以下、内容メモです。 新型コロナウイルスの感染拡大によって、2020年1QのGDP成長率が前年比-6.8%というマイナス成長を記録していた中国経済はV字回復を遂げてきた。 2020年1月~6月の実績は、特許(68.3万、同期比5%増)、実用新案(127.2万、同期比2.6%増)、意匠(32.9万、同期比3.5%減)で、特許、実用新案の出願は増加している。 2020年1月~6月、PCT出願の受理件数は前年同期比22.6%増の2.95万件であった。 (2019年同期:2.4万件)中国市場主体の知的財産権の海外における配置意識が向上している。外国出願人にとって中国市場の魅力が高まっている。 不服審判及び無効審判の結審件数が顕著に増加した。審査スピードが加速している。 2020年1月~8月の中国商標出願件数は603万件で、前年同期比20.98%増加した。2020年8月末までの中国有効な商標登録件数は2823万件である。 1.量から質へ 特・実・意の出願件数連続9年世界トップ、商標出願件数連続18年世界トップ。研究開発能力及びビジネス能力とは一致しているのか?問題視されている。
① 特許法の改正 2020年内に改正完了の見込み? ② 特許運営プラットフォームを設立して、特許譲渡及び実施を促進する。 ③国有企業に対して社内知財権ライセンス、譲渡制度に関する体制作りを指導し、促進する。 ④ 大学、国有研究機関に対して知財権実施、ライセンス、譲渡について、指導し、促進する。 ⑤ 知財権に基づく融資などを促進する。 3.司法原則及び裁判基準、審査基準を統一 民法典の立法(2021年1月1日から実施) 懲罰的損害賠償の適用範囲が拡大される 当事者の約定が尊重される 各専門法律法規・司法解釈などの法改正が期待される 4、裁判所の調整 ーー技術性の高い知財事件の二審は最高裁判所より管轄 5、特許、商標、地理的標識の統一管理 アフターコロナ時代に日本企業へのアドバイス(略) 元内閣官房知財推進事務局長の荒井寿光さんが、「Science Portal China」(サイエンスポータル・チャイナ)で、2020年8月24日に、「知財強国に向かって着々と進む中国―中国の知財の最新動向」を書かれています。非常な危機感、参考になります。 現在、世界で知財戦略を最も強力に進めているのは中国だ。これは日本企業にも大きな影響を与えるため、中国の最新の知財状況について制度のみならず、企業・大学・地方を含め、その運用実態を的確に把握して対応策を考える必要がある。 日本はもう一度、日本人や日本企業の創造的能力を発揮し、国際競争力を高め、文明の進歩に貢献するため、科学技術振興戦略や知財戦略を作り直す必要がある。 1 強化された知財の国際競争力 (1)国際特許出願(PCT)件数が米国を抜いて世界一に (2)第5世代通信システム5Gの特許を巡る争い (3)中国の科学技術論文数が世界一に (4)国際特許をベースに国際標準を狙う 2 米中知財紛争がエスカレート (1)米中が第1段階の経済貿易協定に調印 (2)コロナ紛争で米中関係悪化 (3)米国はWIPO事務局長選挙で中国人候補を阻止 (4)米国は中国の在ヒューストン総領事館を閉鎖 3 中国は引き続き世界一の知財大国 (1)特許出願件数は日本の約5倍 (2)中国の総知財件数は日本の約20倍 (3)中国の専利集約型産業の付加価値は対GDP比11.6%と高い 4 知財強国路線を着々と推進 (1)李克強総理が知財保護の強化を強調 (2)2020年版知財強国推進計画 (3)知財の信用監視プログラムの整備へ 5 知財関連法律の制定・改正が進む (1)中国初の民法典成立、知的財産権について概括的に規定 (2)外商投資法の施行 (3)専利法改正案の審議 6 コロナ対策に知財部局も動員 (1)国家知識産権局の施策 (2)地方政府の知識産権局の施策 (3)裁判、執行活動の円滑化 7 知財裁判の強化 (1)知的財産権の司法保護の強化 (2)全人代での活動報告 8 地方政府は知財行政で重要な役割を果たす (1)出願奨励で大きな成果 (2)質権設定融資の活用 9 大学は知財の実用化推進へ (1)知財は量から質へ、そして実用化推進へ (2)科学技術部、知財と研究成果の財産権取引センターを整備 10 中国の第14次5カ年計画と日本の対応 (1)2020年上半期の出願がコロナ禍でも増加 (2)オンライン化が加速 (3)米中摩擦の激化予想と中国の対抗 (4)第14次5カ年計画への準備 (5)求められる日本の対応 荒井寿光, 知財強国に向かって着々と進む中国―中国の知財の最新動向, 「Science Portal China」(サイエンスポータル・チャイナ), 2020年8月24日 https://spc.jst.go.jp/experiences/howdojp/howdojp_2002.html 5月15日、国家知識産権局は、国務院知的財産戦略実施業務部局間連席会議弁公室が、中央政府、最高人民法院、最高人民検察院、及びその他の国務院組織に向けた「2020年国家知的財産権戦略の進展における知的財産権強国建設推進計画の加速」が公布され執行するべきとの通知( 国知戦聯弁〔2020〕5号)が5月13日に発行されたことを公示しました。 グーグル翻訳でも大体の意味はわかります。 http://www.cnipa.gov.cn/gztz/1148642.htm
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著者萬秀憲 アーカイブ
March 2025
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