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「企業成長の道筋~投資家との対話の質を高める知財・無形資産の開示~」

4/5/2025

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特許庁は、4月28日、ステークホルダーとの建設的な対話に資する知財・無形資産の開示に向けて、取り組むにあたってのマインドセットや、その方法を具体的に取りまとめたガイドブック「企業成長の道筋~投資家との対話の質を高める知財・無形資産の開示~」を公表しました。
コーポレートガバナンス・コードの改訂や、知財・無形資産ガバナンスガイドラインVer.2.0を受けて、知財・無形資産に係る開示が充実してきましたが、企業と投資家との間で視点のギャップがある点がボトルネックになっています。
このボトルネックを解消し、知財・無形資産に係る開示の充実化と建設的な対話を実現するために必要なマインドセットとその方法について、実際の企業の事例や、投資家へのヒアリングで得られたコラムとともに紹介しているのが本ガイドブックです。
 
以下は、NotebookLMによる要約です。
文書の目的と背景
  • 2021年6月のコーポレートガバナンス・コード改訂により、知的財産への投資に関する情報開示が求められるようになりました。これは、企業のサステナビリティや、知財が企業経営に果たす役割への期待が高まっていることを示しています。
  • しかし、多くの企業では、経営レベルでの高い視点から知財・無形資産を整理・開示することに難しさを感じており、形式的な開示が増加しています。
  • 日本市場は長期的な低ROE・株価低迷から脱却しようとしており、企業の持続的な成長と中長期的な企業価値向上には、形式的な原則実施では不十分とされています。
  • 本調査研究は、こうした背景を踏まえ、ステークホルダー(特に投資家)との「建設的な対話」という切り口から、知財・無形資産開示の意義や効果を明らかにし、特に「企業成長の道筋を示すこと」の重要性に焦点を当てています。
  • 調査方法の概要
    • 本書は、令和6年度の特許庁の調査研究結果に基づいています。
    • 調査は主に以下の3つで構成されています。
      • 現地調査: 知財経営の開示を通じた企業価値向上に取り組む企業への伴走支援(企業チームと専門家チームによる対話)。
      • ヒアリング調査: 知財・無形資産に着目する投資家、および先進的な開示に取り組む企業へのヒアリング。
      • 座談会: 現地調査企業担当者、投資家、先進企業知財部門長による議論。
    • 現地調査では、「企業成長の道筋」の仮説(①成長ビジョン、②ビジネスモデル、③強み)に基づき議論が行われました。
  • 建設的な対話と開示のためのフレームワーク
    • 企業成長の道筋を示す「開示メソッド」が提示されています。これは以下の3つの要素で構成され、投資家対話の中心的な論点となります。
      • ① 成長ビジョン: 企業が将来目指す姿(経営目標、ビジョン等)。企業理念やDNAといった基本的な価値観の言語化も含まれます。
      • ② 成長ビジョンを支えるビジネスモデル: 成長ビジョンをどのように実現するか(顧客、提供価値、収益性等の一連の説明)。
      • ③ ビジネスモデルを支える強み: ビジネスモデルの実現性、持続性、競争優位性を裏付ける知財・無形資産(現在保有するもの、今後獲得すべきもの)。
    • 「対話のスタンス」として、投資家を「批判的な評価者」ではなく、「企業成長をともに考えられるパートナー」と捉えることが重要とされています。中長期視点の投資家は、企業がどのように企業価値を向上させていくかという道筋に関心があります。
    • 「建設的な対話のスパイラル」が提唱されています。これは、企業内での戦略検討 → 開示 → 投資家との対話 → 対話に基づく経営戦略の再検討 というサイクルを複数回回すことで、経営戦略を高度化し、企業価値向上を目指すものです。特に、部門横断での対話による戦略の言語化(自明の言語化)と、そこから得られる戦略の不備や強みの不足への気づきが重要視されています.
  • 企業と投資家間のギャップと課題
    • コーポレートガバナンス・コードが求める開示は、「経営戦略・経営課題との整合性」と「企業の持続的な成長への貢献」を重視しており、従来の定点的な知財情報開示とは異なります。
    • 多くの企業では、事業や技術の意義を「自明」と捉え、十分に社内で議論したり、社外に説明する機会を作ってこなかったことが、投資家との建設的な対話を阻む要因となっています.
    • 企業が自明と考えているため、指摘を受ける機会が少なく、十分に掘り下げてきませんでした.
    • 企業側が成長性を示したいのに対し、投資家側は安定性や持続性に疑問を持つなど、「成長」に対する捉え方にギャップが生じることがあります(コーエーテクモHDの事例).
    • 具体的な顧客名や詳細な数字が開示できない場合、ビジネスモデルと財務の結びつきをストーリーとして示す工夫が求められます(第一工業製薬の事例).
    • 投資家は、企業が示す成長戦略の「確からしさ」を理解するために、業績や成長戦略の背景にある「本質的な強み」に必ず着目します.
    • 投資家は、単なる技術力の説明だけでなく、その技術が顧客価値や収益にどう貢献するか、なぜ他社ではなくその企業が選ばれるのかといった点を重視します.
    • 投資家は、価値創造ストーリーにおいて、どの段階で、どのような価値を、なぜ創造できているのか、具体的な課題や要素が明確であることを求めます. 因果パス(技術が売上・利益に貢献する流れ)を示すことが重要です.
  • 建設的な対話に向けた企業内の取り組み
    • 経営戦略を強固にするためには、一度策定した戦略を経営層や部門を横断して何度も社内でフィードバックしあうことが不可欠です.
    • 経営戦略やビジネスモデルを支える知財・無形資産を特定するためには、社内・社外(投資家)で積極的な対話機会を設け、企業成長の道筋を磨き上げることが効果的です.
    • この取り組みは、開示の充実化だけでなく、経営戦略自体の高度化、ひいては企業価値向上につながります.
    • 部門横断での対話は、投資家対話の事前準備となり、戦略の社内理解促進、モチベーション向上、本質的に発信すべき強みの発見に有効です.
    • IR、経営企画、知財部門等を管掌する役員・部門長クラスの関与が、社内対話の効果を高めます.
    • 統合報告書などの開示資料作成において、IR部門が全体コンセプトを定め、各部門と密接に連携し、対話を重ねながら内容を詰めることが有効です.
    • 企業文化やDNAといった基本的な価値観を社内で言語化しておくことで、社内コミュニケーションがスムーズになります.
    • 外部(投資家)との対話だけでなく、社内においても部門を横断して、自明と思っていることや強みについて多角的な視点で議論することが、建設的な対話への第一歩です.
    • 社内の関係者がそれぞれの視点で「なぜ」を問い合い、それに対して回答し、フィードバックを得るサイクルを回すことが、自明の言語化につながります.
    • 事業や技術が経営戦略・目標達成に貢献しているか、経営目線で効果・役割を部門横断で検証することが、開示改善に向けて社内で議論すべき内容です.
    • 計画策定後の振り返りが重要であり、対話結果を経営へのフィードバックにつなげ、対話と開示、戦略策定・改善のサイクルを回すことが建設的な対話につながります.
    • 社員も建設的な対話をすべきステークホルダーであり、社員に理解できるよう、説明すべきことを整理し、言葉を定義することが重要です.
  • 具体的な事例からの示唆
    • 東洋エンジニアリング: バリュエーションが低い状況では、構造改革に貢献するビジネスモデルを開示することが先決です。新事業の説明では、今ある強みだけでなく、今後獲得すべき知財・無形資産やその道筋を示すべきです。技術力の説明は、手順や論理の流れ(顧客価値への貢献)が重要であり、企業の強みが生かせる事業領域や必要な投資の特定につながります。
    • 第一工業製薬: 具体的な顧客名や詳細な数字が出せない場合でも、全体像とそれを支える強みや仕組み(例えば、手間のかかる材料、顧客別センター、代理店との関係性など)を示すことで、投資家に対する説得力が高まります。自社のビジネスモデルや戦略の様々なポイントについて、「なぜ」「どうやって」と問いかけることは、自社戦略の高度化にも重要です。フレームワークを用いた情報整理は、論点の漏れを減らし、部門横断での強み洗い出しや対話での目線合わせに有効です.
    • コーエーテクモホールディングス: 開示可能な情報に制約がある場合でも、定性的な情報やイメージ図でビジネスモデルと収益構造(例: 重層的な収益構造、収益バランスイメージ図)を示すことは、投資家が全体像を理解する上で有効です. ヒット作の再現性を示すには、単なる品質管理体制だけでなく、アイデア創出の源泉や企業文化が重要になり得ます. 外部(投資家)との対話は、社内での議論では得られない、強みに関する気づきにつながることがあります.
  • 建設的な対話が導くもの
    • 知財・無形資産の開示充実化は、中長期視点の投資家との建設的な対話を促進し、経営戦略を磨き上げ、経営の高度化を実現することを促します.
    • 建設的な対話を通じて、企業が明確に意識していなかった「本質的な強み」を自覚し、言語化することが可能になります.
    • 対話結果を適切に社内議論に取り込み、経営戦略を洗練させようとする企業の努力が、企業価値向上につながります.
    • 強みが明確になることで、その強みを維持・浸透させるための社内取り組みの検討につながります.
    • 企業文化は、価値創造の土台となり、知的財産を生み出し、知的財産を価値に変換する仕組み(ビジネスモデル)を通じて、持続可能な成長を可能にする重要な要素となり得ます.
これらのステップを通じて、知財・無形資産の開示と投資家との建設的な対話の重要性、およびそのための具体的な取り組みの道筋が示されています。
NotebookLM音声概要(6分22秒)
https://notebooklm.google.com/notebook/b9aa7c00-53f2-42b9-a66d-4aafe0d80c6d/audio
 
事例集「企業成長の道筋~投資家との対話の質を高める知財・無形資産の開示~」を掲載しました
https://www.jpo.go.jp/support/example/ip_disclosure_for_stakeholder.html
「企業成長の道筋~投資家との対話の質を高める知財・無形資産の開示~」全体版
https://www.jpo.go.jp/support/example/document/ip_disclosure_for_stakeholder/all.pdf
知財・無形資産の投資・活用及び開示に取り組む意義とは・・・?
https://www.youtube.com/watch?v=Uqfw7oypijw
 
 
 
Pathways to Corporate Growth: Enhancing the Quality of Dialogue with Investors through Intellectual Property and Intangible Asset Disclosure
 
On April 28, the Japan Patent Office (JPO) released a guidebook titled "Pathways to Corporate Growth: Enhancing the Quality of Dialogue with Investors through Intellectual Property and Intangible Asset Disclosure." This guidebook outlines the mindset and specific methods required for effective disclosure of intellectual property (IP) and intangible assets, aimed at fostering constructive dialogue with stakeholders.
While revisions to the Corporate Governance Code and the release of the Intellectual Property and Intangible Asset Governance Guidelines Ver. 2.0 have led to more comprehensive disclosures in these areas, a gap in perspectives between companies and investors remains a major bottleneck.
To overcome this bottleneck and realize more robust disclosure and constructive dialogue, this guidebook presents the necessary mindset and methods, illustrated through actual corporate case studies and insights gathered from interviews with investors.
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