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日本製鉄が特許侵害で中国・宝山鋼鉄とトヨタ自動車を東京地裁に提訴

16/10/2021

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驚いたのは、ユーザーであるトヨタ自動車まで提訴し、この鋼材を搭載する電動車の製造・販売の差し止めを求めたことです。
トヨタのコメント(日経新聞記事によれば「今回の提訴は材料メーカー同士で協議すべき事案であると認識しており、弊社が訴えられたことは大変遺憾」「当該の電磁鋼板についても、取引締結前に他社の特許侵害がないことを製造元に確認のうえ、契約している」)にあるように、これまでの常識からは考えられないことです。(日経新聞の社説では「今回の訴訟は暗黙の了解で成り立ってきた面もある日本の製造業のピラミッド構造に一石を投じた。」と表現)
同様な材料メーカー同士の特許係争を経験したことがありますが、双方から「お客様にはご迷惑をおかけしない」旨の連絡がありました。設備メーカーでも同様のケースがありました。
以前、日本製鉄の知財戦略が最近変わってきているという話を聞いたことがありましたが、「脱炭素社会に向けたキーテクノロジーである電磁鋼板を巡る攻防は、これまで表立って争うことを良しとしなかった日本の大企業の慣習を打ち破った。日本の特許訴訟史上、画期的な出来事といえる。先端技術を巡る日本企業と海外企業との争い、そして日本企業同士の振る舞いも新たな段階に入った。」(日経新聞の渋谷高弘編集委員)という新たな時代の幕開けかもしれません。
なお、鉄鋼新聞によれば、<日鉄が侵害されたと訴えたのは2030年5月13日を有効期限とする「特許第5447167号」で、NOの成分や板厚、結晶粒径や鉄損・磁束密度といった磁気特性に関するもの。損害賠償や差し止めは日本国内で生産される電動車が対象となる。>とのこと。
日本国内しか出願していない特許のようですが、日本製鉄の当該分野で訴訟に関連している特許は少なくとも3件がリストアップされているようですので、他にもあるのかもしれません。
今後の推移に注目したいと思います。
 
 特許第5447167号
【特許請求の範囲】
【請求項1】
  質量%で、C:0.005%以下、Si:1.0%以上4.0%以下、sol.Al:2.5%未満、Mn:0.1%以上3.0%以下、P:0.08%以下、S:0.005%以下およびN:0.005%以下を含有し、残部がFeおよび不純物からなるとともに、Siおよびsol.Alの合計含有量が4.5%未満である化学組成を有し、板厚が0.10mm以上0.35mm以下であり、平均結晶粒径が30μm以上200μm以下であり、下記式(1)で規定されるX値が0.845以上であり、磁束密度1.0T、周波数1kHzで励磁した際の鉄損W10/1kが80W/kg以下であることを特徴とする無方向性電磁鋼板。
    X=(2×B50L+B50C)/(3×Is)      (1)
(ここで、B50Lは磁化力5000A/mで磁化した際の圧延方向の磁束密度、B50Cは磁化力5000A/mで磁化した際の圧延直角方向の磁束密度、Isは室温における自発磁化である。)
【請求項2】
  前記化学組成が、前記Feの一部に代えて、Sn:0.1質量%以下およびSb:0.1質量%以下からなる群から選択される1種または2種を含有することを特徴とする請求項1に記載の無方向性電磁鋼板。
【請求項3】
  前記化学組成が、前記Feの一部に代えて、Ca:0.01質量%以下を含有すること
を特徴とする請求項1または請求項2に記載の無方向性電磁鋼板。
【請求項4】
  前記板厚が0.30mm以下であることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれかに記載の無方向性電磁鋼板。
【請求項5】
  下記工程(A)~(D)を有し、2次再結晶焼鈍を行わない無方向性電磁鋼板の製造方法であって、
  前記無方向性電磁鋼板は、請求項1に記載の条件を満足する平均結晶粒径および磁気特性を有することを特徴とする無方向性電磁鋼板の製造方法:
(A)請求項1から請求項3までのいずれかの請求項に記載された化学組成を有する熱延鋼板に10%以上75%以下の圧下率の冷間圧延を施す第1冷間圧延工程;
(B)前記第1冷間圧延工程により得られた冷延鋼板に700℃以上900℃以下の温度域に1時間以上40時間以下保持する中間焼鈍を施す中間焼鈍工程;
(C)前記中間焼鈍工程により得られた中間焼鈍鋼板に50%以上85%以下の圧下率の冷間圧延を施して0.10mm以上0.35mm以下の板厚とする第2冷間圧延工程;および
(D)前記第2冷間圧延工程により得られた冷延鋼板に900℃以上1200℃以下の温度域に保持する仕上焼鈍を施す仕上焼鈍工程。
【請求項6】
  前記第1冷間圧延工程に供する熱延鋼板に、700℃以上900℃以下の温度域に1時間以上20時間以下保持する箱焼鈍による、または、900℃以上1100℃以下の温度域に1秒間以上180秒間以下保持する連続焼鈍による、熱延板焼鈍を施す熱延板焼鈍工程を有することを特徴とする請求項5に記載の無方向性電磁鋼板の製造方法。
 
 
日鉄、トヨタと中国・宝山を提訴 鋼板特許侵害で電動車の製販差し止め請求
https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20211015&ng=DGKKZO76655450V11C21A0MM8000
 
 
日鉄のトヨタ提訴が問う産業ピラミッド
https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20211016&ng=DGKKZO76710510W1A011C2EA1000
 
日鉄vs宝山・トヨタ、異例の提訴に中韓への技術流出の影
編集委員 渋谷高弘
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGH14EEA0U1A011C2000000/?n_cid=SPTMG002
 
 
日本製鉄/中国・宝鋼とトヨタを提訴/無方向性電磁鋼板で「特許侵害」/損害賠償と電動車の製造差し止め要求
鉄鋼新聞 2021/10/15 05:00
https://www.japanmetaldaily.com/articles/-/93663
 
 
日本製鉄がトヨタ・宝山鋼鉄を提訴提起した特許は︖-Google Patentsで訴訟関連特許を調べる-
https://note.com/anozaki/n/n8b0926858b8b
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