「経営に戦略的に活かす知財情報」というテーマで、9月8日、9日に行われた「PatentSight Summit Japan ONLINE」での二日目のトップバッターは、昭和電⼯株式会社 知的財産部 知的財産グループ 情報チーム 増嶌 稔⽒ 『昭和電⼯のIPランドスケープ活動』というテーマでした。
増嶌氏は、電機メーカーにて製品開発・設計を担当。その後、特許庁にて特許審査官、コンサルティングファームにて知財戦略、R&D戦略にかかるコンサルティング業務を経て2019年4月より昭和電工で、特許分析を活用して、事業戦略、研究開発読む件数を減らす戦略の立案をサポートしています。 昭和電工は、株式公開買付けにより約9600億円を投じて2020年4月28日付けで日立化成を連結子会社としました。日立化成の社名が10月1日付で「昭和電工マテリアルズ」に変更され、2020年中に完全子会社化し、最終的には新会社として企業統合を目指しているとのこと。 現在その作業の真っただ中で、今回その話はないとの断りがありました。 日立化成株式会社を連結子会社化、昭和電工HP https://www.sdk.co.jp/whatsnew/37951.html 今回の再編を機に、化学業界の川上(素材)に位置する昭和電工グループと川中から川下(機能・モジュール・評価)に位置する日立化成グループが一体となり、今後予想されるグローバル競争の激化や市場構造の大きな変化といった事業環境において、「ワンストップ型の先端材料パートナー」として皆様から信頼される 「世界で存在感のある機能性化学メーカー」を目指してまいります。 野崎篤志, 【特許から見るM&A】昭和電工の日立化成買収によるシナジーは?2020/07/08 15:43 https://note.com/anozaki/n/n7ae41d95b303 知財部の方針は、1.知財権の質の維持と出願数の確保、2.グローバルな知財網確立とリスクの最小化、3. AI活用による院で李ジェンス機能の拡充で、目標は、「三位一体」の知財戦略遂行により経営に資するとのこと。 「AI活用によるインテリジェンス機能の拡充」の柱は、AI活用とIPランドスケープの2本柱。 AI活用は、「人とAIが同期した知財関連業務を実現する」を目標に、効率化として、①類似特許検索、②可読性向上をすすめてきた。 R&D部門の特許閲覧時間が、拠点Aでは3カ月間の特許閲覧時間が平均450時間/月、呼ぶべき特許の数の多さと難解さが負担を増大している。 効率化の目標値は、研究者の特許読解時間を10%まで減らす。 読解時間=読む特許の数×1件当りの平均読解時間 10%=20%×50%
AIを用いた特許読解支援システムを構築~優れた可読性で特許情報のスクリーニングにかかる時間を大幅に短縮~, 昭和電工HP, 2019年4月10日 https://www.sdk.co.jp/news/2019/27188.html 知的財産の保護・活用, 昭和電工HP https://www.sdk.co.jp/rd/ip.html IPランドスケープでは、分析事例の紹介(総資産価値、開発体制、技術領域で比較) Western Digital, Seagate, Showa Denko, Fuji Electricの比較 特許サイズ(Portfolio Size), 対ビジネス価値(Competitive Impact)では、昭和電工は上位2社と比べて劣位。 競合へのインパクト(技術的価値と市場的価値)は、ほぼPortfolio Sizeの順と比例 発明者情報を用いて、各社の開発体制を可視化、昭和電工は1つのグループ、組織一体。Western Digitalは、2つのグループで技術担当を細分化。可視化することで、研究開発体制についても議論できた Technology Clusters による各社の技術内容の可視化により注力技術を把握できた。Technology Cluster毎に特許成長率と特許占有率によるPPMを作成し、自社の保有技術を可視化、技術領域の変化を把握し、他社と比較。 昭和電工では、IPランドスケープを特許情報の活用に絞っている点が特徴かもしれません。 事業を守る攻めの知的財産活動を進めてきた日立化成を統合することにより、今後どう展開されていくのか注目されます。 若山、関, 事業を守る攻めの知的財産活動, 日立評論, Vol.97 No.04 236–237 (2015) http://www.hitachihyoron.com/jp/pdf/2015/04/2015_04_03.pdf 知的財産戦略, 日立化成HP https://www.hitachi-chem.co.jp/japanese/csr/corporate_governance/intellectual_property_strategy.html
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著者萬秀憲 アーカイブ
March 2025
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